マイクロソフトのデータセンターの設置場所はどこに?なぜ日本に?

マイクロソフトは人工知能(AI)事業の基盤強化のため、今後2年間で日本に29億ドル(約4400億円)を投資し、データセンターを設置すると発表しました。
日本に置くデータセンターには、高速で大量の演算処理をする最先端の画像処理半導体(GPU)を組み込むなどして設備能力を強化し、生成AI開発を加速させるとのことです。
ここではデータセンターの設置場所や、日本にセンターを置く理由を検討していきます。

マイクロソフトが日本に投資をする理由

マイクロソフトが日本に4400億円を投資する理由は、大きく分けて以下の5つが考えられます。

1. 日本の技術力とデジタルインフラへの期待

日本は高度な技術力と安定したデジタルインフラを有しており、AIやクラウドサービスの発展に適した環境を提供しています。マイクロソフトは、日本の技術力とデジタルインフラを活用することで、生成AIなどの次世代技術の開発を加速させ、世界市場での競争力を強化できると考えています。

2. 日本のデジタルトランスフォーメーション市場の拡大

日本政府は、デジタル化による経済活性化を目指し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。この政策により、日本のDX市場は今後大きく拡大していくことが予想されます。マイクロソフトは、日本市場におけるDXの推進役となり、クラウドサービスやAIソリューションなどを提供することで、大きな収益を上げると考えています。

3. 日本の優秀な人材の確保

日本は、世界トップレベルの技術者や研究者を擁しています。マイクロソフトは、日本への投資を通じて、これらの優秀な人材を獲得し、次世代技術の開発やイノベーションを促進できると考えています。

4. 日米関係の強化

日本への投資は、日米関係の強化にもつながると考えられます。マイクロソフトは、日本政府や企業と協力して、日本の経済発展や社会課題の解決に貢献することで、日米関係をより一層強化できると考えています。

5. 諸費用が安く済む

まず日本は現在円安で治安も良く人件費が安いです。
またデータセンターというのはやたら電力を使う上、安定した場所にしか置けません。
その一方、アクセス先であるユーザーから距離が遠いと速度等何かとデメリットが多いです。
ユーザーが加速度的に増える極東にデータセンターを置くにあたって、治安、政治、法治的に日本が有力だと判断されたことが考えられます。
電気代についてもベンチャー電力会社と契約したソーラーで、日本からの補助金をフル活用して安く賄えます。

生成AIの需要予測

生成AIの世界需要は、2030年には2110億米ドルになると予測され、2023年に比べて約20倍の規模となる。日本市場も1兆7774億円になるとみられ、現在と比べ15倍に拡大すると考えられています。

JEITA、生成 AI 市場の世界需要額見通しを発表/一般社団法人電子情報技術産業協会
https://www.jeita.or.jp/japanese/topics/2023/1221-2.pdf

データセンターとは

データセンターとは、企業や組織が使用するサーバーやネットワーク機器などを設置・運用するために特化した施設です。インターネット用のサーバーや通信設備などに特化したものはインターネットデータセンター(iDC)と呼ばれています。データセンターには、以下の3つの主要な機能があります。

1. サーバーの設置・運用

データセンターは、サーバーを安全かつ安定的に運用するために必要な環境を提供します。具体的には、以下の設備が整っています。
サーバーラック:サーバーを収納するためのラック
電源:サーバーの稼働に必要な電力
空調:サーバーを適温に保つための空調設備
セキュリティ:サーバーへの不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策

2. データの保存

データセンターは、企業や組織の重要なデータを保存します。データは、ハードディスクやストレージ装置などに保存されます。

3. ネットワーク接続

データセンターは、インターネットや他のネットワークに接続されています。
これにより、企業や組織は、データセンター内のサーバーやデータにどこからでもアクセスできます。データセンターは、企業や組織にとって重要な役割を果たしています。データセンターを利用することで、企業や組織は、以下のようなメリットを得ることができます。
コストの削減:自社でサーバーなどを運用するよりも、データセンターを利用した方がコストを抑えられる場合があります。
セキュリティの強化:データセンターは、セキュリティ対策が徹底されています。
災害対策:データセンターは、災害対策が講じられています。
拡張性の向上:データセンターは、必要に応じて拡張できます。近年、クラウドサービスの普及により、データセンターの需要はますます高まっています。

設置場所の予測


まず大規模なデータセンターを設置する場所には、以下のような要件が考えられます。

1. 自然災害リスクの低さ

地震、台風、洪水などの自然災害リスクが低い場所を選ぶ必要があります。データセンターは、企業や組織にとって重要なインフラであり、災害によって損傷を受けると、大きな損害が発生する可能性があります。

2. 安定した電力供給

データセンターは、大量の電力を消費します。そのため、安定した電力供給が可能な場所を選ぶ必要があります。

3. 良質な通信環境

データセンターは、インターネットや他のネットワークに接続する必要があります。そのため、良質な通信環境が整っている場所を選ぶ必要があります。

4. 拡張性

将来的にデータセンターを拡張する可能性がある場合は、拡張性のある場所を選ぶ必要があります。

5. アクセスの良さ

データセンターは、保守やメンテナンスのために定期的にアクセスする必要があります。そのため、アクセスがしやすい場所を選ぶ必要があります。

6. コスト

土地や建物のコストも考慮する必要があります。

マイクロソフトは現時点では日本でのデータセンターの設置場所を公開していませんが、以上の要件をクリアしやすいと考えられる場所は、以下が考えられました。

  • 北海道:苫小牧市、千歳市
  • 東北地方:仙台市、秋田市
  • 関東地方:千葉県、茨城県
  • 関西地方:大阪府、兵庫県
  • 九州地方:福岡市、北九州市

例えば都内にも多くのデータセンターがありますが、ここでは都会から遠すぎない地方都市が多くなっています。

設置されることによる日本への影響

  1. 人材育成

マイクロソフトは今後3年間で300万人を対象に日本でのAI関連の人材育成も進めると発表しています。
技術者から学生、非正規雇用者まで幅広い層を対象にするとのことで、マイクロソフトが提供するリスキリング(学び直し)プログラムや既存の研修プログラムに加え、女性向けプログラムを日本で初めて実施します。

 2. 研究の連携

またマイクロソフト傘下の研究機関であるマイクロソフトリサーチアジアが東京に研究拠点を新設します。
ロボットとAIあるいは社会とAIといった学際領域を探究します。「日本の先進的なロボット分野と連携できることは、マイクロソフトにとっても重要だ」とし、今後5年間で東京大学に加え、慶応義塾大学と米カーネギーメロン大学のAI研究パートナーシップに対し、それぞれ約15億円分のリソースを提供するといいます。

終わりに

ここまでマイクロソフトの投資とデータセンターの設置等をめぐる情報と予測をまとめてきました。
マイクロソフトは日本での人材育成や研究の連携も予定していることから、日本へ与える影響も大きいですし、今後どのように生成AIが進化していくか楽しみですね。

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